<カンタン解説>
| 「非上場企業の『本当の値段』を測る、世界共通のモノサシ」 M&Aでまだ株式を公開していないスタートアップやベンチャー企業を買い取るとき、「この企業の本当の価値(時価)はいくらなのか?」を決めるのは非常に困難です。上場企業のように、毎日変わる「株価」という分かりやすい基準が市場に存在しないからです。 そこで、世界中の投資ファンドや専門家たちが「非上場企業の価値は、こういうルールと計算ステップで客観的に測ろう」と合意して作った世界的に広く参照されているガイドラインが、IPEV(国際投資評価)ガイドラインです。 PPAの現場では、目に見えない無形資産などの「正解がない複雑な計算(レベル3評価)」をたくさん行います。このとき、自分の会社に都合の良いバラ色の計画で計算するのではなく、「IPEVという世界共通のモノサシに沿って、市場の誰もが納得する客観的な目線で計算しました」と説明できることは、評価の合理性を補強するうえで非常に有効です。 ただし、IPEVは会計基準そのものではありませんので、最終的な評価の妥当性は会計基準の公正価値ルールに基づいて判断されます。 |
<実務家向け解説>)
PPAにおける無形資産や条件付対価の評価は、市場データが直接観察できない「Level 3」に該当するため、バリュエーターは「仮想的な市場参加者」の前提を自ら構築しなければなりません。この際、特にPE(プライベート・エクイティ)ファンドやVC(ベンチャーキャピタル)が関与するM&A取引において、非上場企業の公正価値(時価)を測定する際の世界的な実務慣行(ベストプラクティス)として広く承認されているのがIPEVガイドライン(国際投資評価ガイドライン:International Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines)です。
IPEVガイドラインはIFRS 13やASC 820(および我が国の時価算定会計基準)と完全に整合するように策定されており、マルチプルの選択・調整方法や、アーリーステージ企業の評価アプローチ(直近の資金調達価格の利用やマイルストーン法)など、Level 3インプットを客観化するための具体的な知見を提供しています。独立したIPEVボードによって策定・維持されており、プライベート・エクイティ(PE)およびベンチャーキャピタル(VC)投資における公正価値(Fair Value)測定の世界的ベストプラクティスです。
PPAの実務者が「この評価前提やキャリブレーションは、客観的な市場参加者目線に基づいている」と監査人に説明・理論武装する際、IPEVガイドラインの思想を解釈の補助線(リファレンス)として援用することもできます。
